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メア発言の真意【櫻井よしこ 菅首相に申す】

Category: 政治  

米国務省日本部長で元沖縄総領事のケビン・メア氏の発言が非難されている。

昨年12月、アメリカン大学での講演の重要点はざっと以下のとおりだ。


 (1)日米安保は非対称。

米国が攻撃されても日本には米国を守る責務はないが、

米国は日本人とその財産を守らなければならない。


 (2)集団的自衛権は憲法問題ではなく、政治問題だ。


 (3)沖縄の怒りや失望は米国よりも日本に向けられている。

日本の民主党政権は沖縄を理解しておらず、沖縄とのパイプもない。


 (4)鳩山由紀夫前首相は左派の政治家だ。


 (5)日本政府は沖縄県知事に「もしお金が欲しいならサインしろ」と言う必要がある。

彼らは合意と言うが、合意を追い求めるふりをし、できるだけ多くの金を得ようとする。沖縄人は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人だ。


 (6)日本国憲法9条を変える必要はないし、変わるとも思えない。

改憲で日本は米軍を必要としなくなり、米国にとってはよくない。


 問題にされたのは(5)の発言である。


「ごまかしとゆすりの名人」などという侮蔑は決して許されるものではない。

仲井真弘多(ひろかず)沖縄県知事の「沖縄に何年か総領事としていた外交官がああいう認識かというと、

少し情けない」という不快感も、3月8日の沖縄県議会の抗議の決議も、至極当然である。


 それにしても、なぜこのような発言になるのか。

氏の滞日歴は20年に及び、夫人は日本人だ。

沖縄に赴任する前の福岡では博多の山笠祭りに魅せられ、締め込み姿で参加した。

2009年までの3年間、沖縄総領事を務めた氏は一貫して親日家である。

その人物が思いがけない非難を沖縄に浴びせた理由は何か。



今回の発言とは無関係かもしれないが、私はかつて氏に大いに同情したことがある。

09年4月のことだ。在日米海軍が掃海艦2隻を石垣港に寄港させたいと通知したとき、

「八重山地区労働協議会」「九条の会やえやま」「いしがき女性九条の会」など8団体が「軍服を着て、

市街地を歩くことは許さない」などと大反対した。


当時の大浜長照(ながてる)石垣市長は日米地位協定で認められている入港を拒否し、

寄港を「市民感情に配慮を欠いた一方的な押しつけ」「平和行政と相いれず、

内政干渉」だとして強く非難した。


 当時、メア総領事は「米海軍の沖縄での活動自体が、

日米安保の下で日本防衛の責任を果たす用意が米国にあると示すことになる。

石垣港は南の海路の中心にあり、寄港の経験を通して同海域を知っておく必要がある」と述べたが、

正論であろう。


 ところが大浜市長は米掃海艦入港に、なんと非常事態宣言で応じたのだ。

4月3日、メア総領事は石垣港に入った掃海艦を訪れ、船長以下乗組員を歓迎した。


同じ頃、市長の非常事態宣言に発奮した反対派約300人が港に押し寄せゲートを封鎖、

メア氏らは7時間半も封じ込められた。


 この事件を沖縄のメディアはどう伝えたか。


事実は同盟国の掃海艦が「乗組員の休養と地元との交流」を求めて寄港したにすぎない。

ところが、「琉球新報」は8歳の小学生の「戦争が起きそうな気持ちになる」という言葉を引用して

反米軍感情を煽(あお)ったのだ。


中国の軍事的台頭で、沖縄を含む日本の周辺状況は非常に厳しくなっている。

その脅威の実態と対処をこそ伝えなければならないとき、

沖縄主要紙はどう見ても本来の報道の責務を果たしていない。

米軍を嫌うあまり、客観的に考えられないのか、真の脅威である中国の蛮行に目をつぶるのだ。


2004年11月に石垣島周辺の日本領海を中国の潜水艦が侵犯したとき、

大浜市長が強く抗議したとは、私は寡聞にして知らない。


あるいは10年4月7日から9日まで、尖閣諸島沖の東シナ海で中国の大艦隊が大規模訓練を行い、

10日に沖縄本島と宮古島の間を航行したとき、

琉球新報や沖縄タイムスが中国の脅威を十分に報じたとは思わない。

2紙の報道はいずれも200字から400字前後で、極めて控えめだった。


同盟国と、脅威をもたらす潜在敵国が判別できていないと私は感じたが、

メア氏ら米国側関係者が同様に感じたとしても不思議ではない。


 それでも沖縄には、国際社会における日本の立場も国防の重要性も

米軍基地の必要性も全てわかっている良識派は存在する。その筆頭が仲井真知事である。


民主党の鳩山由紀夫首相(当時)が普天間移転問題で年来の日米交渉の努力を水泡に帰したとき、

知事はじっと耐えた。

地元メディアの強硬論と愚か極まる本土政府の間に立たされたのは本当に気の毒だった。


 メア氏は鳩山氏を左派と断じたが、普天間交渉をとりまとめた氏であれば、

愚かなる政治家によるぶち壊しは耐えられなかったのであろう。


 また、メア氏は、沖縄の基地問題におカネがついてまわりがちなこともよく知っているのだ。

沖縄に基地が必要な理由を、日本政府は国防論、国際政治論から論じてこなかった。

国防政策に基づいて説明し、沖縄の人々を説得すべきところを回避して、常に物、カネでごまかしてきた。

沖縄県と県民がメア氏から不名誉な言葉を投げかけられる隙を作った責任の大半は、実は本土政府にある。


 メア発言の(1)(2)(3)(4)は大体当たっている。

そして(6)についてである。


氏は日本には憲法改正はできないと見る。


自国の守りを他国に頼る日本への最も深い侮りはまさにこの部分だ。

だからこそ、菅直人首相も民主党も、メア氏に抗議する前に、まず、

日本の国防の無責任体制の是正に手をつけよ。

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