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今日ボクが見た風景

日中間の亀裂

Category: 政治  

本当は中国自身が損をするレアアースの禁輸圧力に、
日本はなぜ翻弄されてしまったか?


尖閣諸島沖の中国漁船と日本の巡視艇の衝突に端を発した日中間の亀裂は、以前から懸念されていた“中国リスク”を顕在化させる結果となった。そのリスクの具体例がレアアース(IT関連商品に使う希土類)を巡る禁輸騒動だ。

 希土類は、「工業製品のビタミンのようなもの」と表現するとわかりやすいかもしれない。主にIT関連製品の多くに少量ずつ使われており、当該製品の機能を高めたり、円滑な動きを補助する役割を果たしていることが多い。

 その用途は、工業用磁石やハイブリッド車に使うニッケル水素電池、液晶ガラスの研磨剤や光学レンズの添加剤など、多岐にわたっている。



尖閣問題で突如浮上した「外交カード」
中国には国際社会の常識が通用しない?

実は、もともとわが国企業が開発援助や技術力を供与して、中国の希土類の産出量を増やした経緯がある。ところが、中国自身の工業化の進展に伴い、国内での利用を優先するため、中国政府は毎年10%輸出枠の削減を行なってきた。


2010年に限っては、40%もの削減方針を打ち出していた。そんなタイミングで尖閣諸島問題が発生し、中国政府は一時、輸出を事実上停止する措置を取ったのである。


世界最大の希土類消費国であるわが国としては、短期的にはかなり困難な状況に追い込まれることになる。それを危惧したわが国は、拘束期間の延長を決めていた船長を慌てて釈放することを決めた。


いかにも無為、無策なスタンスを取ったことによって、わが国政府には、国内外から厳しい批判が寄せられることになった。


船長の釈放によってレアアースの禁輸は解かれたものの、今回改めて明確になったことは、中国政府に国際社会の常識が通用しない“中国リスク”があることと、わが国政府は稚拙な外交能力しか持っていないことだ。


騒動に紛れたレアアース産業の「実像」
日本の技術供与が促した中国のシェア拡大

現在中国は、レアアースの世界シェアを約90%も握っている。その背景には、大量のレアアースを必要とするわが国が、中国国内の開発を支援し、それに伴う技術も提供してきた経緯がある。

しかし、「中国のレアアースは、日本企業のお陰で開発できた」などと言ってみたところで、現在の中国に通用するはずはない。


一時期中国は、安価な価格を武器にレアアースの輸出を促進したこともあり、米国やロシアなど他の産出国の企業を押しのけ、異常なほど高いシェアを確保するに至った。ところが、中国自身の消費量が増えると、中国政府は国内需要を優先する方針を明確にし、輸出枠を徐々に減らし始めた。


今年になると、中国政府は、一挙に40%も輸出枠をカットすると通告してきた。それに対して、わが国の経済産業相や外相が相次いで北京を訪問し、中国政府に譲歩を要請した。


しかしわが国政府は、中国の環境問題に関する技術協力を条件としたこともあり、「かえって中国政府に足元を見られた」と言われている。


そして今回、尖閣諸島問題への対抗策として、一時わが国に対する事実上の全面的な輸出禁止措置にまで発展した。短期的に見るとその影響は大きい。一部のレアアースについては国内に相応の備蓄があるようだが、それとても長い期間持ち堪えるだけの量はないだろう。


日本の産業界は、今後、代替物の確保やレアアース自体のリサイクルを真剣に考えることが、必要になる。



中国リスクは国際社会にも波及必至
今後の展開は中国にとって不利に働く?

ただし、短期的には対応策が限られるレアアースだが、少し長い目で見ると状況はかなり変わってくる。もともとレアアースは、中国にしか存在しないものではない。他の諸国でも産出される物質だ。

今回、中国が輸出禁止などの措置を取ったことによって、わが国を始めとする世界の主要消費国と潜在的な産出国が、本格的な対応策を練り始めたことは間違いない。


1つは、わが国のように消費量が多く、しかも国内の高い技術を蓄積している国では、レアアースの代替品への切り替えや、リサイクルなどが活発化するはずだ。実際に、リサイクルの効果を顕在化させるまでには時間を要するかもしれないが、着実に中国への依存度を低下させるだろう


また、レアアースの価格上昇に伴って、すでにいくつかの再開発や新規開発のプロジェクトが動き始めている。たとえば、米国のマウンテン・パス鉱山では、レアアースの生産を本格的に再開する。


また、ベトナムやカザフスタンなどでは、わが国企業と現地企業が協力して生産活動を拡大することが予定されているという。こうした供給サイドの拡大が進むと、中国製品のシェアは低下することが予想される。


さらに、わが国政府も“レアメタル確保戦略”と称して、リサイクル推進、代替材料の開発などを促進する方針だ。結果として、向こう1~2年のうちに需給関係は緩むとの見方が有力だ。ある専門家のように、「長い目で見ると一番損をするのは中国自身」と見る向きもある。



日本の正直さは大切だが、
したたかな中国に弱みを見せてはいけない

今回の騒動でもう1つ見逃してならない点は、わが国政府のいかにも稚拙な対応姿勢だ。

まず、レアアースについては、かなり以前から中国への依存度が異常に高いことが指摘されていた。それにもかかわらず、政府はほとんど具体的な政策を実施して来なかった。


今年に入って、中国が「輸出枠を40%減少する」と通知してきた以降、慌てて経産相や外相が北京に飛んで行った。しかも、条件として提示したのは、環境問題に関する技術供与だったという。


それでは、いかにもしたたかな中国政府に、弱みを見せるだけの意味しかなかっただろう。自国内のマウンテン・パス鉱山の再開を決めると同時に、WTO(世界貿易機構)への提訴をほのめかして交渉を進める米国や、中国国内の環境問題や少数民族の人権問題などでジワリと圧力をかけることを狙っている欧州諸国とは比べ物にならないほど、わが国の外交手法は稚拙と言わざるを得ない。


重要なポイントは、「中国政府にはわが国の常識が通用しない」という基本的な出発点を明確にすることだ。海外のファンドマネジャーの1人は、「日本人の正直さは大切だが、それでは中国政府にやりたいようにやられてしまう」と指摘していた。

その通りだろう。わが国政府は、自分の主張を明確にして、相手と対峙することを念頭に置くべきだ。そして、したたかさを身に着けるべきだ。


それができないと、わが国の国民はいつまでも損をし続けなければならない

それは、何とか避けて欲しいものだ。



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