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今日ボクが見た風景

中国を懸念

Category: 政治  

強硬な中国を懸念する

会話があちこちで

2010年11月22日(月)11:00
(フィナンシャル・タイムズ 2010年11月18日初出 翻訳gooニュース) フィリップ・スティーブンズ

日本で政治家や政策決定者たちと時間を過ごすと、会話は決まって中国の話題で始まる。しばらくするとアメリカの話題に移り、そしてまた中国に戻る。一貫しているのは、不安感だ。中国政府はどういうつもりなのかと気を揉み、それと同じくらいアメリカの力の衰退を心配している。

これはヨーロッパの人間にとって、実に心騒ぐやりとりだ。もちろん欧州そのものも、世界の新興国によって歴史の薄暗がりに置いてきぼりにされてしまうかもしれないのだが。しかし今のところ欧州はもっぱら内向きに内省し、そして油断している。地政学上の中心が大西洋から太平洋に移りつつあるのに、欧州はその変化に目をつむっているし、それでいいと思っている。

今月ソウルで開かれたG20の集まりで、アメリカと中国は国際経済上の不均衡について徹底的に議論したのだが、同じ場でヨーロッパ人たちは身内同士でユーロについて話し合っていた。英ポンドを握りしめるデイビッド・キャメロン英首相は、生まれたばかりの子供のせいで寝不足だったのがサミットのおかげで回復できたとコメントした。

欧州と比べて日本は世界的大変化の影響を大きく受けるし、過去の遺恨からくる傷跡もまだ生々しい。中国は日本を追い越して世界第2位の経済大国となり、アジア太平洋地域ではアメリカを抜いて日本にとって最大の貿易相手となった。中国政府は強力な海軍を建造中だ。中国は南シナ海を、台湾やチベットと並ぶ「核心的利益」と宣言した。そして中国は誰はばかることない強気な物言いをするようにもなった(日本政府関係者の対中感情を一変させたのは、これだ)。

ヨーロッパ人は中国のことを、国際舞台におけるアメリカの競争相手だと思っている。日本にとっては、中国は隣人だ。地理的な関係と歴史上の関係ゆえに、日本にとって中国の挑戦は経済的なものであると同時に、領土問題でもある。日本の政策決定に関わる者は誰でも、日中間における建設的関与の重要性は熟知している。それでも日本の政策決定担当者たちは、中国の覇権的野心の表れに見える行動について、すぐに気を揉み始める。

東シナ海で日本が支配する尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる今秋の衝突が、日本政府関係者の懸念をはっきりと形にしてみせた。日本当局が中国漁船の船長を拘束し、そして釈放したのは、陰謀というよりはヘマが原因だった。菅直人首相の側近は私に、中国政府は日本政府の意図を読み違えたのだと語った。そうなのかもしれないが、事態をめぐる混乱はたちまち対立へと悪化した。

船長逮捕に中国政府は激怒したし、レアアースの対日禁輸を含む対抗措置は、言外のメッセージを含んでいたように見える。つまり中国は自分たちより弱い国々に挑戦されることを良しとしないのだと、そう伝えようとしたかのように。

領土問題はアジアのあちこちにある。日本はロシアとも韓国とも、それぞれ領土でもめている。南シナ海の島々をめぐっては半ダースほどもの国々が領有権を主張している。ヒマラヤの中印国境は常に緊迫している。

こうした領土紛争に過去の衝突の記憶やナショナリズムの勢いが加わると、対立は危険なものになる。紛争収束に使える安全保障システムと呼べるようなものがまるで存在しないのも、アジアの領土紛争を危険なものにしている。ヨーロッパ人は自分たちの大陸が19世紀末におかれていた、あの発火寸前の状態を思い起こすのだ。

中国が圧倒的に最強な国になろうとしていると、日本の誰もが考えているわけではない。日英21世紀委員会の会合で私は、日本のある高名な中国研究者から、日中両国が2008年に交わした共同声明の写しを手渡された。

共同声明は「戦略的互恵関係」の推進を宣言したものだ。アジア太平洋地域の安全と繁栄は、中国と日本の友好的な結びつきをよりどころとするものだと明言している。私にこの文書を渡してくれた中国専門家は、日中の相互利害関係を北京の党幹部は十分に理解していると話していた。

しかしそこまで楽観視する人ばかりではない。漁船衝突事件に対する中国の強硬な反応は、人民軍が政府内の権力闘争で優勢になってきたことの証左だと考える外交関係者もいる。中国政府の改革派たちが、ライバル保守派のナショナリスト的言動に合わせる必要があるのではないかという推測もある。第三者の立場からすると、両国間に信頼関係がほとんどまったく欠けていることに驚かされる。戦略的相互依存はまぎれもなく当を得た政策なのだが、日中双方の深い相互不信に対抗するのはなかなか難しい。

これこそが、日本にとって最重要な同盟国の出番だ。アメリカはもはや中国とぶつかっても中国を思い通りにできないと思われていたが、ソウル・サミットの結果、やはりそうだったと再確認されてしまった。オバマ大統領のアジア4カ国歴訪は見た目だけなら実に華々しいものだったが、ソウルを後にするその姿はかつての威光を失っていた。というか、まあ、そうとも言い切れないかもしれないが。アメリカは相対的に衰退していると嘆いてみても、日本は同盟国アメリカを今まで以上にギュッと抱きしめたいと思っているのだ。それは日本だけのことではない。

日本で昨年、民主党が政権をとって以来、日米関係は何度も軋んできた。沖縄の米海兵隊基地をめぐる紛糾はきちんと解決していない。しかし日本政府の関係者は誰もが、日米関係を維持したいと考えている。その証拠に、尖閣諸島について米政府が日米同盟の適用範囲だと言明した時、日本政府が大きく安堵の声をあげたのだ。

これこそがパラドックスだ。アメリカは前より衰退していると誰もが言うが、今のアジアはここ数年なかったほどアメリカを頼りにしているのだ。中国が封じ込められるとは誰も思っていない。中国リスクをヘッジしなくてはと、ほぼ誰もがそう思っている。

アメリカは以前よりずっと歓迎されているようだと、ヒラリー・クリントン米国務長官は話す。ベトナム・ハノイで開かれた地域閣僚会議で長官は、「南シナ海の航行の自由は米国の国家利益だ」と言明。これに中国は激怒したが、中国以外では大勢が静かに拍手をしたものだ。

オバマ大統領のデリー訪問は、中印関係の絶え間ない緊張関係を浮き彫りにして、米印関係の戦略性を強調するためのものとして計算されていた。

それ以外でも、米政府は東アジアサミットに招かれているし、韓国は長年続く同盟関係を再構築しようとしている。ベトナムはかつての仇敵に友好の手を差し伸べているし、オバマ氏が立ち寄ったインドネシアも親米に傾いている。

つまりはそこが中国にとっての泣き所だ。アメリカの力は衰退したかもしれないが、アメリカは今でもなくてはならない存在なのだ。中国が強硬な態度をとればとるほど、近隣諸国はアメリカに接近しようとする。中国について不安を口々に語るのは日本だけではない。アジア各地で似たような声が聞こえる。中国政府の政策決定担当者たちにとって、これは教訓となるはずだ。

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