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今日ボクが見た風景

国会議員は尖閣に行け 

Category: 政治  

国会議員は尖閣に行け 石原慎太郎


2011.7.4

 日本の政治はなぜこんなに短絡的になってしまったのか。なぜ大切なことを、幾つか重ねて一緒に行うことが出来ないでいるのだろうか。

 未曽有の大災害からの復旧復興も焦眉の問題だが、他に考えつくだけですぐにも行うべきことがあるのに、なぜそれが出来ずにいるのだろうか。国政を担う議員たちの発想力がこんなに貧しく、衰えてしまった時代は過去に無かったような気がしてならない。

 災害のもたらした損害だけがこの国を危うくしているのではない。他にも、すぐにも対処しなくてはならぬ問題が目前にあるのに、国を憂い司(つかさど)らなくてはならぬ政治家たちが迂闊(うかつ)にではなしに、私が忠告し建言し登録した国家の存危に関わる問題をすっかり忘れてしまっているのには、あきれるというより慄然(りつぜん)とさせられる。

 私は昨年の秋に中国が侵犯しようとしている、まぎれもない日本の領土尖閣諸島を守るために、国政調査権を持つ国会議員たちこそが超党派で、尖閣諸島に自衛隊を駐留させるための調査に赴くべきだと幹事長を務める息子を含めて総裁や政調会長にも申し入れ、彼等もそれを了としたのに、この災害騒ぎに右往左往するだけで一向にその兆しも見えない。谷垣総裁は早速議会のしかるべき委員会に動議してことを行うといったが、その気配はない。

 それどころか最近ある国会議員からは、かつて尖閣を所有していた沖縄在住の未亡人から、いかなる所存でかあの島々を買い取った埼玉県大宮在住の栗原一族が、中国から依頼されて数十億の価格である島を売るつもりがあるらしいなどという風聞を伝えられた。


 私はかかる風聞を信じないし、耳を傾けたくもない。

 実は私はかつて青嵐会を代表して大宮まで出向き、当時健在だった一族の主人役の老齢の未亡人に、どの島でもよいからあれらの島々の中の一つを是非売って欲しいと申しこんだことがある。その時彼女は慇懃(いんぎん)に、しかしはっきりと、あの島々をこの国のいかなる政治家にも預けるつもりはありません、私たちは戦争中政府から酷い目に会わされ、飛行機会社の用地のためということで一方的に広大な所有地を奪われ、戦後もこの屋敷の半ばを市の区画整理のために削りとられましたので、自分の財産は自分自身で必ず守りますといわれ、返す言葉も無く引き下がったものだった。

 青嵐会の仲間たちに計って挙金し、関西の大学の冒険部の学生に依頼して魚釣島に上陸させ、ささやかな灯台を作らせたのは私だが、その後政治結社の青年社が莫大な金を投じて立派な灯台を作ってくれた。私はおおいに感謝し運輸省の水路部に視察させて正式の灯台として足りぬところを指摘させ、青年社もそれに応えて完璧な灯台が出来たのに、それを海図に正式登録する段になって日本の外務省が何ゆえにか『時期尚早』と称してこれを阻んだ。

 以来折角の灯台は海図に記載されぬまま、航海上かえって危険な状況が続いていたが、誰に相談してのことか、後にようやく正式に登録され、灯台本体に『日本国国交省これを建造』というプレイトが張られたものだった。


 しかし中国はあの領海への侵犯を繰り返すだけではなしに、最近では尖閣は中国の固有の領土だと唱えだした。そして昨年のあの正体不明の中国漁業監視船なるものの保安庁監視船に対する衝突事件が起こった。衝突してきた相手の装甲は保安庁側よりも厚く、こちらは大きくへこんだが相手はかすり傷という体たらくだった。

 その責任者の中国側の船長を釈放させた政府は、地方の次席検事の判断といい逃れしてすませたが、その背景は中国への弱腰の遠慮と安保を結ぶ仲のアメリカへの過剰な期待があったのだろう。現にヒラリー国務長官は尖閣はアメリカが責任もって守るなど大見栄をきってみせたが、そのすぐ後、彼女の下司のクローリーは日本政府に慎重を求め、民主党政府もああした形でそれに応えた。

 この際、国民も民主党政府も日米安保条約なるものの実体を心得ておいた方がいいが、保安庁の監視船に対しての彼等の行為は、正確には安保発動の対象たり得ない。安保はあくまで軍事紛争の際にのみ発動し得る。先般の事件はその意味では軍事紛争としての性格を欠いているのだ。しかし以前に在った日本領海の海峡を中国の潜水艦が無断で潜航通過した際、日本側が爆雷を投下して威嚇、あるいは相手を撃沈したらこれは正統な防衛上の軍事行動となりえる。もし日本の潜水艦が中国や北朝鮮、ロシアの海に無断で潜航したらただちに撃沈させられるだろう。隣の韓国においても同断だろう。それが防衛というものだ。


故にも、尖閣のいずれかの島に自衛隊を駐留させることは、あれらの島々への侵犯を防いで許さぬ正統な姿勢となる。その前段の仕事として、尖閣周辺の事情に懸念を抱く与野党の国会議員たちが、国政調査権にのっとって、その条件整備のための調査にかの島々に赴くことは彼等のみに出来る作業であり責任の履行でもある。私の建言が未だに履行されずにいることに私は焦りというよりも、もはや怒りをすら感じている。自民党議員も含めて彼等は果して無知なのか、それとも臆病なのか。

 風聞のごとくに、あの島の所有者が心動いているとは思いもしないが、しかし中国があの島の領有を金で買い取り、日本の領土においてその地歩を固めようとする意志が有ることは優に信じられる。それを牽制し防ぐ手立てを講じるのは国会議員しか有り得まい。その議員たちが一向に動かない。とすれば私たちは一体どこの誰にこの国の安危をゆだねたらいいのだろうか。

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