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サムスン会長がついに爆弾を落とした理由

Category: 韓国・朝鮮  

サムスン会長がついに爆弾を落とした理由

防衛関連のグループ会社不正で社長解任

2011.06.16(Thu)  野口 透

4月以降、定期的に週2回本社に出勤し始めたサムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長(69)から、ついに爆弾が落ちた。グループ企業であるサムスンテクウィンに対する経営監査の結果、さまざまな不正行為が発覚したことで激怒、社長を即時更迭した。自ら記者団の前にやって来て「サムスングループ全体に不正腐敗が蔓延しているようだ」とまで厳しい口調で語った。

 何が、サムスン会長をここまで激怒させたのか。

グループ企業の社長たちを凍りつかせた「会長のお言葉」

韓国サムスン電子、四半期決算で初の赤字

ソウルにあるサムスン電子本社に掲げられたロゴ〔AFPBB News



 2011年6月8日。ソウルの江南にあるサムスン電子本社39階の役員会議室で恒例の「水曜社長団会議」が開かれていた。

 サムスングループの社長団会議は、会長も出席して重要意思決定をしたこともあるが、今はグループ企業の社長が集まった勉強会と連絡事項の伝達が目的で、会長も出席しない。

 この日も、大学教授を招いて「(李氏)朝鮮時代のリーダーシップ」という講演を聞き、和やかな雰囲気で会議が終わろうとしていた。

 その時、グループの代表格で李健熙会長の「秘書室長」業務を手がけ、頻繁にグループの経営について説明し、指示を仰いでいる金淳沢(キム・スンテク)副会長(61=未来戦略室長)が突然、「会長のお言葉を伝える」と、話し始めた。

 「会長に(グループ企業である)サムスンテクウィンに対して実施していた経営監査の結果について報告すると、『サムスンの誇りであったきれいで清潔な組織文化が壊れてしまった。海外で、優良企業が、内部の不正腐敗で崩れてしまった例は少なくない』と大変なお怒りだった」

 10分余りだったが、金副会長の予想もしなかった発言に、40人ほどいた社長たちは凍りついてしまった。

 サムスングループで全権を握る李健熙会長の「怒り」が、言葉だけで終わるはずがない。

玄関横の記者たちに自ら近づき説明

 この日、サムスンテクウィンの社長が、「監督責任」を取って退任したことが明らかになった。サムスングループの社長が年末年始の定例人事以外の時期に辞任することは極めて異例だ。もちろん、会長の意向を受けての更迭人事だったはずだ。

 李健熙会長の怒りは、これだけでは収まらなかった。翌日の6月9日。午前8時に本社に出勤した李健熙会長は玄関横に記者たちがいることを見つけると、わざわざ自分から近づいて「質問があればどうぞ」と話しかけたのだ。


サムスンテクウィンについて質問が出ると「サムスンテクウィンだけでなく、サムスングループ全体に不正腐敗が蔓延しているようだ。過去10年間、ちょっとうまくいったからと安心するからこんなことが起きる」などとまくしたてた。

 さらに「何が問題だったのか」という質問に対しては「供応や賄賂もあるが、もっとも悪いのは、部下に不正を命じることだ。自分が不正行為をすることも問題だが、部下に命じるというのは最悪だ」と興奮気味に語った。

発端は北朝鮮の延坪島砲撃、応戦しようにも兵器が動かない!

 一体、何が起こったのか。今回、問題になったサムスンテクウィンとは、サムスン電子の関連企業で上場企業だ。2010年の売上高は3兆1272億ウォン(1円=13ウォン)、営業利益は1866億ウォン。本業は防衛関連で、自走砲や装甲車などを生産している。航空機や産業用のガスタービンエンジンなども生産しているが、一般にはあまりなじみのない企業だ。

韓国政府、さらに挑発行為あれば「断固たる報復」

2010年11月23日、北朝鮮から砲撃を受け大きな煙を上げる韓国の延坪島〔AFPBB News



 話の発端は2010年の11月23日に遡る。この日、北朝鮮は、北方限界線(NLL)を越えて韓国の延坪島(ヨンピョンド)に多連装ロケットなどで爆撃攻撃を仕掛けた。

 これに対して韓国軍も配備していた自走砲「K9」などで応戦したが、6門のうち3門が故障などで機能しないという大失態が起こった。

 この前後に、「K9」にさまざまな問題が起きていたことも明らかになったが、この「K9」のメーカーがサムスンテクウィンなのだ。

 「技術のサムスン」にとって、「K9問題」は大きなイメージダウンになった。北朝鮮の攻撃後、K9の欠陥問題が何度も大々的に報じられたからだ。そのたびにグループ内では深刻な問題と受け止められた。

 サムスングループは、2011年2月からサムスンテクウィンに対する大掛かりなグループ監査を実施した。

「あの世からの使者」と恐れられる監査部隊が徹底調査

 サムスングループで、監査部隊は「あの世からの使者」とまで呼ばれ恐れられていた。一度目をつけられたら決して逃れられないという意味で、徹底的な調査で、対象企業の問題点を一つひとつ暴き出してゆく。

 今回も100人以上の専門家が投入され、役員、社員はもちろん、取引業者などに対しても繰り返し詳細な聞き取り調査を実施した。疑惑が出ると、法人カードの使用明細や領収書のチェック、飲食店に対する聞き取りも細かく実施、どんどん追及していった。この過程でさまざまな不正行為が発覚したという。


 サムスングループは、調査の詳細は公表していないが、会長の発言などから「取引先企業からの供応や賄賂」などがあったようだ。また、「部下に不正を命じること」が最も悪いという会長発言から、組織ぐるみの不正や取引業者との癒着があったと見られる。

癒着防止のための厳格なルール

 もともと、サムスングループは、取引先企業との「癒着防止」のため、厳格なルールを定めている。取引先企業との会食の際は、原則としてサムスン側が支払いをする。

 取引先企業が接待する場合も、「1回2万ウォン以下」に限られている。この金額だと夕食はまず不可能。会社近くで昼に定食を食べる程度だ。冠婚葬祭を取り引き先に知らせることは禁止で、慶弔費も「10万ウォン以下」までに限られている。

 監査チームの調査では、悪質な規定違反が次々と摘発され、サムスンテクウィンは6月12日までに、社内規定違反などで役員1人と社員7人を懲戒解雇処分にした。

 ただ、不正に対する処分が明らかになると、社内外からはさまざまな声が出ている。「なるほど、サムスンはすごい。不正を決して見逃さないとは大したものだ」と肯定的な評価がある一方で、「巨額の賄賂や横領、さらに防衛関連の政府高官へのロビーなどがあったとは聞いていない。社長の解任はともかく、役員、社員の懲戒解雇は厳しすぎないか」との同情論も少なくない。

 というのも、サムスングループの社内規定は立派だが、「取引先との会食はサムスンが払う」とか「取引先が払う場合は、2万ウォン以下まで」というルール自体が、韓国の慣習から見て厳しすぎるからだ。

 とすれば、今回の厳格な処分と李健熙会長の激怒の理由は何なのか。

李健熙会長が激怒した理由

 1つは、K9不祥事へのけじめだろう。防衛企業として、K9の故障はあってはならないことだ。それが起きてしまったからには、その原因を徹底的に究明する義務がある。たとえ、取引先企業との規定に違反した接待が、直接的に故障の原因でなくとも、厳正に対応するのは当然と判断したのだろう。

 もう1つは、最近、サムスングループで起きていた不祥事に対する李健熙会長の強い危機感だ。

 韓国メディアによると、サムスン電子のロシア現地法人で、今年初め横領などが発覚した。監査チームの調査を受けて、現地法人幹部が更迭されたという。


 さらに、4月には、サムスンSDSの部長が、外国系企業や国会議員の名義を使って65億ウォンもの商品券を購入していたことが発覚、当局の捜査を受けている。

 李健熙会長が「グループ全体に不正腐敗が蔓延しているようだ」というのは、こうした最近の相次ぐ不祥事を指していると見られる。

内部崩壊を恐れるオーナー会長ならではの勘か?

サムスン前会長に有罪判決

李健熙会長の真意はどこにあるのか〔AFPBB News



 李健熙会長から見れば、最近のこうした不祥事に関する報告は聞くに堪えなかったのだろう。

 オーナー会長としてサムスングループのイメージを重視するという意味もあるが、それ以上に、「超優良企業もあっという間に内部から崩れる」ことへの強い恐怖感を持っているからだ。業績がよくなればよくなるほど、浮かれた雰囲気への警戒感が強まる。オーナーならではの、独特のカンが李健熙会長を激怒させたのだろうか。

 李健熙会長は、監査機能の強化も合わせて指示したという。早速、強化拡大を狙っているのが、金淳沢副会長が率いる未来戦略室だ。

 もともと、オーナー会長の強力なリーダーシップで急成長してきたサムスングループは、「会長秘書室」という財閥本社組織に権限が集中していた。人事や経理、監査、企画などの機能・権限を会長秘書室が一手に握っていた。ピーク時には会長秘書室は300人の陣容だったという。

 会長秘書室は、IMF危機を機に「構造調整本部」となり、さらに「戦略企画室」と名称を変えながら規模を縮小していく。グループが成長し、各企業が上場して独立色を強めるなかで、圧倒的な大株主でもない「オーナー会長」が全権を握ることが企業統治上も難しくなってきたからだ。

財閥本社機能の拡大の是非

 2007年に表面化したサムスングループ機密資金疑惑事件を機に、李健熙会長は翌年の2008年にグループ会長を辞任、さらに戦略企画室は解体した。2010年に新たに未来戦略室を新設したが、投資案件の調整やブランド管理などが主な任務で、100人程度の陣容だという。

 今回の会長の指示を受けて、再び財閥本社機能を拡大させるのか。そうなった場合、そもそもこうした組織には法的根拠はなく、新たな財閥批判の芽になる可能性が十分にある。


さらに、監査チームの強化には慎重論もある。IMF危機後、サムスングループは構造調整本部が圧倒的な権限を持って難局を乗り切り、拡大路線を走った。一方で、経理、財務、監査、人事など本部の管理部門ばかりが強くなり、不透明な経営が続き、活力が失われたとの批判も出た。

 サムスングループは以前から「管理のサムスン」と呼ばれていた。その中核が、財閥本社組織だった。だが、今の組織に未来戦略室という名称をつけたことは、がちがちに管理するのではなく、柔軟に未来の新規事業を考え、開拓しようという意味が込められている。

 監査機能強化は、再び「管理のサムスン」の時代に戻ることを意味するのか。未来戦略室が拡大することで、活力を維持できるのか。サムスングループの今後をみる上で大きな注目点だ。

サムスングループのナンバー2争いも

 もう1つ。グループ内のナンバー2争いという興味もある。2010年初め以降、サムスングループは、各企業の独立経営色がますます強まっている。その一方で、稼ぎ頭のサムスン電子のCEOである営業出身の崔志成(チェ・チソン)副会長(60)の存在感が高まっていた。

 しかし、今年に入ってサムスン電子の業績が伸び悩み、アップルとの訴訟や一連の不祥事など「守りの経営」を迫られるケースが増え、相対的に会長の秘書役である金淳沢副会長の存在感が高まっている。

 李健熙会長から長男である李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子社長(42)や長女である李富真(イ・ブジン)ホテル新羅社長(40)への継承という重要な時期に、サムスングループナンバー2の座を努めるのは60代になったばかりの2人のうち1人だ。これまで圧倒的に崔志成氏優勢と見られていたが、風向きが一気に変わる可能性もある。


http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/11600

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