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今日ボクが見た風景

見えた! 中国政府の完璧な情報統制術

Category: 中国  

模倣サービスで利用者を囲い込み、外国製品を駆逐へ

2011.06.15

内モンゴル自治区で発生したモンゴル系住民の轢死事件をきっかけに同自治区内は厳戒態勢となり、中国ナンバーワンSNSサイトの「人人網」にアクセスできなくなった。その人人網は今月初めにニューヨーク証券取引所に上場したばかりだった。

フェイスブックを完全模倣した「人人網」

人人網のウェブ画面


 人人網は以前は同学校の学生をつなぐという意味で「校内網」という名前であり、同じく学校内での交流を図るために作られたフェイスブック(Facebook)を見習ったもので、校内網のデザインは登場当初は誰もが認めるほどフェイスブックにそっくりだった。

 厳戒態勢の中、その地域のSNSを遮断というと、北アフリカのチュニジアで発生した民主化革命「ジャスミン革命」が中国に波及して以来の動きを思い出す。

 人人網のほかにも中国ネット企業では、アマゾン中国(Amazon China)似のオンラインショッピングサイト「当当網」や、ユーチューブ(YouTube)似の動画サイト「優酷網」が昨年末に上場した。

 当当網はアマゾンのシェア以上に人気であり、優酷網についてはライバルのユーチューブがネット規制によりアクセスできなくなったが、土豆網とともに非常に人気の動画サイトで、ユーチューブの存在感を消している。

 ニコニコ動画も現在は中国からアクセスできないが、昨年末にニコニコ動画が見えなくなるタイミングと、ニコニコ動画にそっくりなビリビリ動画というサイトが登場したタイミングがほぼ一致している。

グーグルに対し去るもの追わずの中国政府

ニコニコ動画にそっくりなビリビリ動画


 中国ではフェイスブックのようなSNSサイト「人人網」が人気、ではツイッター(twitter)のようなサイトはというと、やはりそっくりサイト「新浪微博」「騰訊微博」などがあり人気となっている。

 ただし「新浪微博」の母体はナスダック(NASDAQ)に上場した「新浪(Sina)」、「騰訊微博」の母体は香港証券取引所に上場する「騰訊(Tencent)」であるため、中国のツイッター人気により両社が上場するというわけではない。

 さて中国のネット検閲というと、誰しも中国での検索業務から撤退したグーグル(Google)を思い浮かべると思う。中国政府は会見でもグーグルを引きとどめようとせず、去る者を追わずという姿勢を見せた。

 昔でこそ中国における検索市場のシェアにおいてグーグルがトップだったが、今や8割以上の国民が百度を利用しているので、ユーザーの反発はヘビーユーザー中心のもので、全体で見れば実のところそう大きくなかった。

中国政府はグーグルに対し、ウェブページ検索サービスだけでなく地図サービスでも国情に合うサービス提供を迫った結果、中国からは北京にあるサーバーを使わない限り実質同社の地図サービスが使えない状態となり、中国政府の意向に沿った地図を表示している。

グーグル・アースを完全模倣した「天地図」

グーグル・アースに瓜二つの天地図



 百度ほか数サイトなどがグーグル・マップ(Google Map)に相当する地図サービスを提供するほか、グーグル・アース(Google Earth)の対抗馬はというと中国の担当局「国家測絵地理信息局」自身が「天地図」なるそっくりサービスをリリースしている。

 しかし天地図は人人網のスタート時よりすごく、グーグル・アースをデザインはおろかデータまで丸々コピーするという代物であった。

 ソフトウエアだけではない。ハードウエアや規格すら丸々真似てしまうことが多いのは、ご存じの通り。

 最近では中国独自の3G方式「TD-SCDMA」を採用する中国移動(China Mobile)が「Ophone」、日本をはじめ世界中で採用されているW-CDMA方式を採用する中国聯通(China Unicom)が「沃Phone(旧名UPhone)」、レノボが「楽OS」というアンドロイド似のスマートフォン向けOSを発売、Ophoneに関してはそれを搭載したスマートフォンが既に投入されている。

 一躍世界中で話題となった電子ブックリーダー、アマゾンのキンドル(Amazon kindle)に対し中国では早くも多数の電子ブックリーダーが登場し、一部のメーカーはアマゾン同様の電子書籍サイトを用意した。

米国発のサービスがなくても全く困らない中国国民

米アマゾンのキンドルと同様のビジネス電子書籍ビジネスで囲い込みを行う「盛大」



 さて、これまで中国の物真似的な製品サービスや規格を紹介してきたが、ここから中国IT市場の傾向が浮き彫りになってくる。

 米国発のグーグル、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ。中国から利用するとグーグルは利用できるサービスが制限されているほか、残りの3サイトは中国から見ることはできない。

 しかし、前述した通り中国発の代替サービスが既に普及していて、利用者が困ることはない。中国国内のサイトは、営利ではあるが中国市場で展開するために、不都合なコンテンツやコメント・書き込みを削除するなど内部検閲を受け入れることになる。


 逆に言えば政府にとって都合が非常に良いわけだ。現在中国から見るグーグル・マップは中国仕様だ。それでも中国政府の機嫌を損ねたら、代替の百度の地図サービスがあるからグーグル・マップを使用不可にするかもしれない。

海外進出よりも中国国内での独占狙う

中国の領土アピールが目立つ中国版グーグル・マップ



 普段から中国国内の掲示板・SNS・ミニブログで流れる情報について都合の悪い書き込みを削除するなど情報検閲をしているが、内モンゴル自治区での厳戒態勢時には同自治区内での人人網へのアクセスを封鎖した。

 つまりこういうことなのだ。

1.模倣サービス・模倣製品・模倣規格をリリース
2.中国国内で本家以上に認知度を上げ普及を高める
3.本家外資企業に国情に合わせるよう揺さぶりをかける
4.国の方針で従う会社を残し、特定の製品サービスジャンルにおける情報統制を完成させる
5.緊急時には中国のネットサービスと提携ないしはネットサービスを地域内で一時封鎖


国情に合わない「つぶやき」は削除の憂き目に遭う


 良質のサービスをただ真似るだけでいい。中国企業は海外に進出せよという「走出去」に従い日本に展開した百度をはじめとして、利益を追求すべく改善して中国国外で展開することもある。

 また海外株式市場に上場し海外で資金を調達することもできる。しかしツイッターもどきに関しては「飯否」というサイトが元祖だが、既存の著名サイト「新浪」や「騰訊」がツイッターもどきを出しそれらがより人気となったため、必ずしも新企業が模倣サービスで上場して海外で資金を調達するという必要はない。

 つまり過去の例を踏まえると、海外進出で利益を増やすことよりも国内の情報統制の方がずっと重要であることが分かる。

 現在でこそアマゾン中国は営業できる。しかし仮にアマゾンが中国にとって都合の悪いサービスをはじめた時、グーグルやユーチューブなどの先人と同様に、突然、アマゾン中国へのアクセスを封鎖するかもしれない。

 既に当当網が同種のオンラインショッピングサイトでシェア1位になっているので、ユーザーの反発もないわけだ。


 最後に、オンラインショッピング以外で次に中国市場で締め付けがくるジャンルを考える。

 スマートフォンに関しては「Ophone」「沃Phone」「楽OS」の1つでも圧倒的な市民権を得れば、アイフォーン(iPhone)やアンドロイド(Android)搭載スマートフォンは中国市場で売れなくなるかもしれないし、アップルはさらに強く国情遵守を求められるかもしれない。

日本のゲーム産業は中国市場から駆逐される?

レノボの楽OSスマートフォン


 グーグル検索サービスの撤退ほど大きな反響はないだろうが、現在使えるグーグル・アースが天地図が普及することにより使えなくなるかもしれない。

 また電子ブックリーダーが普及すれば、キンドルへの圧力をかけるかもしれない。

 ゲームに関しては、レノボが今年下半期にゲーム機をリリースすると5月に発表した。これが軌道に乗れば、日本企業による中国市場でのゲーム機ビジネス展開は非常に難しくなろう。

 また、電器各社が販売するインターネットテレビも影響がありそうだ。普及してきたら監視できる中国メーカーのテレビは販売でき、日韓メーカーなどが販売するテレビに関しては国情に合わせたテレビをリリースするよう強く出るだろう。

 様々なネットサービスに「クラウド」と呼ばれる技術が活用されているが、5月末にクラウドOS「云海OS」が業務用サーバーメーカー「浪潮」から発表されたことも気になる。

 これにより中国国外のクラウド技術を持つベンダーばかりか、それを採用したシステムでサービスを提供する企業も、云海OS搭載を迫られる可能性はある。

 米国などから画期的で世界的に人気なサービスが出たとしても、中国で他国同様に自由に展開できるとは考えづらい。その時にはそっくりなサイトが中国の企業家から誕生し、ローカライズにより瞬く間に人気になり、本家は中国本格進出を前に、その道を断たれることだろう。

 一方で中国の立場から言えば、人気サービス・人気製品の模倣は常に急務であり、模倣こそ重要である。したがい「世界標準の吸収&外資の追い出し」を常に考えているうちは、世界のリーダーシップが取れるような技術・製品・サービスは開発できないだろう。




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