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震災を契機に変われ!ニッポン

Category: 日本国民の心得  

東日本大震災を契機に変われ! ニッポン

まずは完全に制度疲労を起こしている政治から・・・

2011.06.13(Mon)  佐田 重夫


1.はじめに

【写真特集】震災被災地で活動する自衛隊員ら

震災で大活躍の自衛隊。写真は震災後1カ月、双眼鏡で海を捜査している自衛官〔AFPBB News

3月11日14時46分、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0、1000年に1度と言われる巨大地震が日本を襲った。

 東北地方を中心に広範囲で強い地震と津波、宮城は震度7、岩手、宮城、福島の海岸では10メートルを越す津波、街はのみ込まれて跡形もないほどに損壊、死者・行方不明者は2.4万人、福島では最も深刻かつ最悪レベル7の原発事故を起こすという、まさに未曾有の大震災となった。

2.東日本大震災はどんな災害だったか

 戦後最大の国難と言われる東日本大震災は、烈震と大津波による自然災害の上に国策として推進して来た原発によもやの大事故が起きたことに特色がある。

 烈震と大津波は広範囲に被害をもたらし、特に自治体の機能を失った被災地域は、状況の解明や組織的な行動が取れず、当初の災害対応は困難を極めた。

 一方、15メートルの津波を受けた福島原発は、津波による浸水で予備電源が作動せず、電源喪失状態をきたしたため原子炉の冷却装置が制御不能となり、水素爆発による建屋の破壊や圧力抑制室の破損により放射性物質が外部へ漏出する事故を起こした。

 今回の大震災対応は、阪神淡路大震災の経験を生かし、国も地方自治体も迅速に初動対応したものと思う。

 しかし福島原発事故対応については、東北地方の大震災対応と同時並行的に行わねばならず、かつ危険な作業を行うという厳しい状況であったことは理解できるが、平素の危機管理と事態対処の両面で多くの課題を残した震災と言える。

 また別の見方をすれば、国家非常事態の経験がない政府が、既存の災害対策組織や官僚をうまく使えず、専門的助言を受けると称し行政経験のない部外有識者からなる会議を立ち上げて対応した震災であるとも言える。

 今回の大震災が原因は天災、対応は人災と言われるゆえんである。

 今回の大震災を通じて、災害への対応はどうだったのか、またこの災害を通じて今後、日本はどう変わるべきかついて私見を述べたいと思う。


3. 東日本大震災への対応はどうだったのか

(1) 平時の準備

【写真特集】震災被災地で活動する自衛隊員ら

岩手県陸前高田市で海上の捜査をする自衛官(4月10日)〔AFPBB News

 自然災害の多い日本では、地震・津波・洪水・噴火等を対象に、防災意識は年々高まり逐次整備されて来ているが、それで100%安全とは言えない。

 そのため予想される災害に対しては、継続的な調査による安全基準の見直しや検査による確認とともに災害発生に対しては、被害を最小限に止めるための対策(防災計画、事態対処計画)を立て、訓練を行って安全性を高めている。

 今回の災害は、どうであったのだろうか。

 耐震強度を有する建築基準は、近年改善されてきているが、福島原発事故における烈震による外部電源受電設備の損傷や送電線の鉄塔倒壊が起きたりしているところを見るといまだ十分とは言い切れない。

 しかし今回、注目すべき大きな課題は、津波対策である。長い海岸線を有する日本であるだけに、難しい課題であるが、街づくりのあり方、建築物・防潮堤・防波堤の高さや強度、避難路の確保等もっと工夫して平素から対策を講じておくべきことが多くある。

 その中でも原発施設については、特に厳しい基準と平素の準備が要求される。今回の事故において、原発各施設の高さ・配置・強度及び放射性物質の漏出防止や原子炉冷却維持のための各種補強装置について問題はなかったのか。

 過去の記録や現地調査から一定の高さの津波を基準にして原発を建設するのはやむを得ないが、その高さも絶対ではない。福島原発は、設計時もっと厳しい基準で施工すべきとの意見もあったようであるが、現実には建設して50年足らずして、基準を大きく超える津波を受けた。

 また、原子炉の格納容器や圧力容器の強度は、一応保たれているようであるが、容器に穴があいたり、容器に連接する付属部品や配管の強度不足による破損、冷却に必要な非常用電源装置が津波に弱い地下室に、しかも集中して配置されていたことは問題であると言わざるを得ない。

 災害対応で平素もう1つ準備しておかなければならないのが、万が一災害が発生した場合の事態対処(オペレーション)をどうするかと言うことである。

 これは、重要な決心を迅速に行いかつ組織的に対応しなければならないので、平素から緊急事態発生時に速やかに事態把握、対応手順、指揮命令、通信連絡、部内外広報等事態対処が出来るよう計画と体制の整備及び訓練が必要である。

 特に原発の場合、国策として推進しかつ世界的に影響を及ぼす特殊な事業であるだけに、たとえ発生確率が極めて低いと考えられる事象についても想定される事態を整理し、被害を最小限に止めるための事前の備えと対処方針は最小限計画しておくべきである。

 これを原子力安全委員会は、専門組織として適切に助言したのだろうか。また災害対策基本法や原子力災害対策特別措置法等既存の法律の他に国家非常事態として大規模災害や原子力災害の対処を容易にする国の基本法が必要ではないか。


(2) 初動対応

【写真特集】震災被災地で活動する自衛隊員ら

宮城県石巻市の小学校でがれきの撤去を行う自衛官(4月11日)〔AFPBB News

 災害発生の初期における最も重要なことは、多くの人命を救助することである。それには48時間が勝負と言われ、平素から即応体制を維持することが求められる。

 今回の場合、首相を本部長とする緊急災害対策本部を3月11日15時14分に立ち上げ「人命救助、避難民・被災者の救援」の指示を速やかに出した。

 岩手、宮城、福島の3県は自衛隊へ速やかに災害派遣要請を行い、かつ首相の指示を受けて自衛隊は10.6万人(東北方面総監を長とする統合任務部隊を編成)の隊員をもって対応した。

 人命救助者数は阪神淡路大震災の7900人に対し、今回は2万6749人(自衛隊が1万9430人を救出)である。これらの状況を見ると、前回の阪神・淡路大震災の教訓を受けて、災害の初動対応は十分に改善されたと言える。

 また空母をはじめ船舶・航空機を含む1.8万人を派遣した米軍とは平素の日米共同訓練成果を十分発揮して各所で効果的な派遣任務を遂行している。

 今回の大震災を通じて、自衛隊が緊急時に頼りになる存在であることを行動でもって示し、国民から高い評価を受けたことは、自衛隊OBとして真に頼もしく好ましい限りである。

 福島原発事故について、国も東電も地震大国の日本であるが、原発事業の危険度を高い技術力でカバー出来るとの過信があったのか、設計を超える自然災害の発生や非常事態対処の体制が十分に出来ていなかった。

 そのため国は原子力災害対策本部会議を開催し、何度か検討を重ねているが、次々に起きる事故の対応に追われ、国家的立場からの対応の考え方や方向性がはっきりと伝わってこなかった。

 原子力安全委員会や有識者の助言とともに原子力災害対策本部会議での結果受けて原子力災害対策本部長である首相が、国として取るべき大方針を自ら決断し、国民に分かるような形で示すとともに、国の機関や関係地方自治体そして東電にその対応を命ずべきであった。

 今回の対応を見ていると、原子力災害対策本部は立ち上げたが、最高責任者である首相の下に迅速に全叡智と最高の技術力を結集して国としての対応を検討するというよりも、現場が行うべき個々の事象ごとの対応や指示に追われていた感が否めない。

 そのため、国として対応すべき重要事項である事故情報の公開と住民避難の指示、ベントや廃炉の決心、放射能汚染水の海への放出措置等について、その時期・内容・要領に問題があり、住民不安の拡大、後手・後手の原発事故処理、さらには周辺国の非難を受けることになった。

 一方、このような大災害対応の最中においても自衛隊の最高責任者である首相は、防衛面について問題はないのかチェックしたのであろうか。現に日本の周辺でロシアや中国の偵察行動が以前に増して活発になっていると聞く。

 南九州や沖縄部隊の主力は、残留し任務に就いているようであるが、在日米軍との関係も含めて南西諸島の防衛に抜かりはないか。

 今回は未曽有の大震災と言うことで現役自衛官の半数に近い勢力を災害に充てるとともに、即応予備自衛官や予備自衛官を初めて招集した。

 国の防衛上、現有勢力の不足が問われている自衛隊が長期に被災地域に集中した場合、防衛態勢に支障がないか常に点検・確認が必要である。


(3) 復旧・復興への対応

20キロ圏内、警戒区域に 違反者には罰則も

車両の放射能除染を行う自衛官(4月12日)〔AFPBB News

 避難者の生活復帰と街の失った機能の復旧が急がれるが、福島原発事故における警戒区域や計画的避難区域の住民は、引き続き厳しい避難生活を余儀なくされる。そのための支援と補償及び復帰の見通しを明らかにすることが必要である。

 自衛隊は、復旧段階になると活動範囲や任務を見直す。

 今回のように広範囲かつ大規模の震災で、いまだ収束の目途が立っていない福島原発の対応を考慮しなければならないが、可能な限り早い時期に地方自治体や地元企業が行う復旧活動に引き継ぎ、本来の防衛任務態勢に復帰する必要がある。

 復興に当たっては、福島原発事故に伴う処置と今後の電力確保を大きな課題として担いつつ対応していくことになる。

 東京電力は、原発事故収束のための工程表を示したが、冷却装置が再稼働し、放射性物質の漏出を防ぐことができたとしても、その後に燃料棒の継続的な冷却、使用済み燃料の取り出しと安全な保管、廃炉にした原発施設の処理、汚染地域の安全化等対応すべき課題は多く、完全収束には相当な時間を必要とする。

 今後は最悪事態としての燃料棒の溶融(早い時期にメルトダウンは起きていたようである)
と格納容器や圧力容器の破損による放射性物質の大量放出事態だけは絶対に避けなければならない。

 国は、東日本大震災復興構想会議を4月に立ち上げ、6月末に提言をまとめると言う。

 その内容は、被災地や被災者の補償と支援、現地の要望を汲んだ災害に強い街づくりとともに、新しい地域社会のモデルを目指すものになると思うが、「安全・安心」「自立・互助」「自然との共生」のある社会での発展・繁栄であるよう願いたい。

 この復興が東北地方に限らず日本全体の問題である過疎や高齢の問題を克服し、企業と若者を呼び込む新しいタイプの農業、漁業、産業を如何に興せるかがカギである。

 そのため時代にそぐわない規制は英断を持って撤廃し、復興を後押しするとともに、必要な財源を確保し十分支援することが必要である。

 さらに国家的中枢機能の分散配置についても教訓として、今度こそ本格的に取り組まなければならない。

 復興計画の具体的実行段階になると必ず各種の規制、個人の権利そして財源の確保など多くの障害にぶつかると思われるが、目指す目標の実現に向かって強力に推進していくことを強く望みたい。

 そのためにも、ねじれ現象の中で与野党対立(大連立の模索もあるが)、与党内分裂を起こし国会運営を停滞させる暇はないのであり、政治家は国家百年の大局的視点に立ってこの難局に力を発揮してほしい。


4.今後、日本は変われるか

(1) 国家として

【写真特集】続くがれきの撤去、空にはこいのぼり

福島県南相馬市の避難所で住民の検査に当たるヨルダンの医師団〔AFPBB News

 今回の大震災のような緊急事態において、最も頼りになったのは何か。自己完結性と組織力・機械力を持って速やかに機動展開し、人命救助と避難者の支援に当たった自衛隊の行動ではなかったか。

 また大演習の途中から支援に駆けつけてきた米軍の対応は、災害の緊急支援成果とともに周辺国に非常事態における日米安保体制の強固な連携を見せることができた。

 この経験によって、国民は、最後に頼れるのは国であり、同盟国であることを認識できたのではないかと思う。

 大震災を経験した今こそ、戦後日本が歩んで来た道を振り返り、国家とは何か、いかにあるべきか、国家と国民の関係はどうだと言った基本問題を考え直す時期が来たのではないか。

 企業は、時代の変化に翻弄されながらも生き残りをかけて自己改革をしてきた。各自治体も地方分権や自立という意識が徐々に高まり変わろうとしている。

 しかし、国の政治だけは、時代遅れのままの状態、制度はいじるが、本質は何も変わらない。真に国家や国民のための政治になっていないのである。今こそ国の政治が自己改革を行い、直面するこの大仕事をやってほしい。

 最近の世論の動向を見ると国民は、国の抱える問題点を十分理解し、自らも犠牲を覚悟して改革の必要性を唱え、かつその実現を求めている。このことを国会議員は深刻に受け止め、国政の場で実行してほしい。

 そのためにもこの東日本大震災の復興を契機に、国の政治が変わり、日本が変わる新たなスタートラインになるよう望む。


(2) 日本人として

【写真特集】続くがれきの撤去、空にはこいのぼり

宮城県気仙沼市で教会のがれきを撤去するボランティア〔AFPBB News

 今回の災害で改めて日本人としての姿を見ることができた。全体の秩序を大切にすること、苦しみを分かち合い助け合うこと、苦しみの中でも希望を失わず立ち上がろうとしていること・・・日本が世界に誇れる特性である。このことは海外のメディアも感心している。

 戦後、日本では国家・社会・家族よりも個人が優先されて来た傾向がある。

 しかし、この災害で見せた同じ地域の人として、また同じ日本人として苦しみを分かち合い、助け合う心、この絆を日本人の誇るべき特性として再認識し、育み伝えて行くことが大切である。

 また一方で日本人に、次の特性もありはしないか。

 自然災害が世界的に見ても集中する日本、古来この災害に苦しめられてきた経験から、民族性として自然(災害)に対する一種の「畏れ」を感じ「諦め」つまり「自然が相手では仕方ない」として「我慢」する。

 日本人の奥にある特性(畏れ、諦め、我慢)が災害への対応で、その徹底を欠くことになってはならないのである。

 自然に対する「畏れ」や「我慢」の心は持ちつつも、災害に対してやれるべきことをしっかり講じ、未然防止に努めることや災害発生時に被害を最小限にすることの準備と実行力をもつことを怠ってはならない。


(3) 危機対応について

 今回の災害を通じ、非常事態が起きた場合、国として今のままでは対応に限界があることがはっきり見えてきた。

 福島原発事故対応を通じ、平素非常事態を想定し訓練していなければ、事態が発生した場合、個々の事故対処に追われ、迅速性を発揮し、国民が納得する対応はできないということが分かった。

 まして国の防衛上の非常事態においては、このような混乱は許されない。非常事態の基本法や対処体制が十分出来ていない我が国が、侵略事態を受けた場合、一体誰がどんなやり方や責任で国の防衛を全うするのだろうか。

 自然災害はいずれ復旧・復興の段階を迎えるが、侵略事態を許した場合、国は滅びるか独立を失い復旧・復興どころの話ではない。この経験を防衛上の非常事態対応の課題として、憲法や有事法そして国の安全保障体制について根本から真剣な再検討が必要である。

 今後予測される首都圏大地震での有効な災害派遣のあり方、防衛任務との整合性、さらには予備自衛官・即応予備自衛官等予備勢力の確保と運用について、今後の課題としてしっかり検証・検討する必要がある。


5. むすび

 敗戦後、廃墟から見事に復興したように、今回この未曽有の大震災が、苦しみや困難を乗り越えて新しい日本を目指していく起点になればよい。

 しかし戦後の見事な経済的復興・発展の反面、国家として人間として大切なものを忘れてきたように思う。今回の復興は、こうした反省に立って、我々が世界に誇れる素晴らしい特性を持った日本と言う国家・国民であり続けられるよう復興、再生を目指してほしい。

 それがこれから続く若者世代の希望や勇気につながると思う。最後に東日本大震災において亡くなられた方々に対し、ご冥福をお祈りするとともに、被災した地域の一日も早い回復を心から願っている。

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