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つい先日エジプトで革命を起こした”若者”達も、革命前は日本のワカモノ達と同じイメージを持たれていたのだ。

2011年1月25日、長期に渡るムバラク独裁政権に対する暴動が始まった。革命前からすでにエジプトの知識人たちはエジプトの教育や政治に対して深い問題意識があったが、独裁政権は30年近く続いた。それが、「国の将来を危惧してない」とされていた若者たちによって変わったのだ。

248660_545383635406_74502625_31157244_597147_aそんななか、日本にあるエジプト大使館でそういった革命後の現状を伝えようと、Lunch Tripが主催するランチ交流会が行われた。そこで、エジプト特命全権大使、ワリード・アブデルナーセル氏による会見を取材した。

小さな衝突やデモは、以前と比べて規模は小さいものの、キリスト教徒やイスラム教徒との衝突など、いまだ各地で起きている。エジプトは約90%の国民がイスラム教であり、中東と同様、少なからず宗教間での対立が以前からあったという。デモから数ヶ月たった今でも、今年の9月に大統領選挙を控えているということもあり、国民の政治への意識は非常に高い。

249742_545383520636_74502625_31157241_5833662_aアブデルナーセル大使は、この革命で劇的に変化した事をいくつか語った。その中で注目したのは、日本でも取り上げられた、facebookならび、ソーシャルネットワークである。独裁的な政治では、以前からメディアの情報規制が頻繁に行われていたという。しかし、インターネットを通じ人々が情報を得て知り、ソーシャルネットワーク(SNS)の広がりにより、”報道の自由”が人々の間で初めて認知されていったのである。革命以前から政府内の一部の政治家によって、”報道の自由”を認める法案を進めていた努力も報われつつある。

「エジプト革命はSNSによってもたらされた」と言われているのも、この情報規制からであろう。以前まで、情報は政府のものであって、国民のものではなかった。しかしソーシャルネットワークを通じ、”初めて”情報が発信・受信されるようになったのである。SNS革命のドキュメンタリーがよく作られるのも、規制されている地域からすると画期的な出来事であることに起因するのだろうか。

247855_545383430816_74502625_31157233_2960727_aしかし、アブデルナーセル大使はこのSNS革命と呼ばれるのに疑問を感じるという。なぜならば、エジプトの約50%の人達は「読み書き」ができないという事、そして、多くの人達がインターネットへアクセスする環境下にいないという事である。SNSが革命のきっかけには違いないかもしれないが、それが一番の要素とは考えにくいと推測している。

エジプト革命は政治だけではなく、エジプト全土、全てに影響を与えた、と大使は真剣な表情で日本人参加者に語っていた。影響はメディア、政治、教育、そして経済…全てに及んでいる。

中でも大打撃を受けたのは、まぎれもなくエジプト経済だ。2006年に過去最高の76億ドルの観光収入を記録し、外国人旅行客数は 910万人にも上った。観光業界は、エジプト経済の要なのである。しかし革命を境に観光者は激減、各国政府はエジプト渡国制限を行った。コンコード・インターナショナルによると、ムバラク政権の崩壊後、収束が早く、ロシアの同国への渡航制限解除により50%が回復されたものの、通年より 25%以上の減少となる予想で、エジプト経済への影響は深刻だ。

そもそも経済的打撃以前にも既に雇用率は低く、特に若者の雇用は厳しい現状が続いていた。大学を卒業しても職がないという構造的な問題が深刻化し、国内でも常に不満の声が上がっていた。雇用問題以外でも、政治家による税金の私費利用や癒着、エジプトのインフラ状況への不満といった問題が山積みで、不満が爆発した形として、1月25日の大規模なデモに繋がったのであろう。

250082_545383455766_74502625_31157235_6217277_nこの革命はエジプト国内だけではなく、アラブ諸国全体への影響が強いと大使は続けた。

チュニジアのジャスミン革命に続いた形で起こったエジプト革命だが、これに伴い、各地で民主主義を求めた革命がモロッコ、シリアへと広がった。革命以前からエジプトは政治的にも宗教的にも、他国を干渉しない中立的立場をとっていたのだが、この革命をきっかけに、アラブ諸国を先導するような国になっていく、もしくはそうならなければいけないだろうと語った。そして最終的には、アラブ諸国全体の融和を目指したいと。

ただ、民主主義を求めた革命を先導する反面、組織や団体などには常に対応しなければいけない。例えば保守的な宗教団体が過剰に反応し、過激な行動を起こすという危惧もある。エジプト国内だけではなく、海外の国も真剣に対応しなければいけないのである。

日本人参加者から、様々な質問があがった。日本とエジプトそれぞれが抱える問題を、リンクさせたからかもしれない。日本のワカモノとエジプトの若者たちを一概に比較はできない。しかし、生活水準が高く、インフラも十分に整っている日本の若者と、革命以前のエジプトの若者とのイメージが同じであったという点には驚きを覚える。エジプト政治家の「金」に関する問題、教育やメディア規制の話は、日本が抱える問題と重なる点が多いからだろうか。

各国で革命が起こっているが、すべてに共通して言える事がある。その革命を起こしているのは若者たちなのだ。若者が国を壊し、そして、それを「若者たち」が再建していく、それが革命なのだ。

エジプトの再建は、まだ革命の始まりにすぎない。(ライター:河村拓哉)

この取材は、「旅は、毎日を非日常に変えられる!」をコンセプトをもとに2ヶ月に一回、日本で異国ランチへ旅をする団体、Lunch Tripの協力を元に書かれています。Lunch Tripについては下記のURLを参照ください。

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