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近代日本の思想状況(まとめ)

Category: 日本国民の心得  
区分時期内容
(1)復古主義v.s.文明開化の時代明治維新~西南戦争終結
(1867-1877)
復古主義的文教政策を推進する勢力(主に公家・薩摩閥)と開明政策を推進する勢力(主に長州閥)が拮抗したが、西南戦争の結果、開明派が勝利した。
(2)欧化主義v.s.政論的ジャーナリズムの時代鹿鳴館時代~日露戦争開始
(1878-1904)
「殖産興業」「富国強兵」「和魂洋才」等をスローガンに政府による強力な欧化政策が遂行された。その一方で在野の不平士族などを中心に「有司専制」に反対する政論的ジャーナリズムが登場。自由民権運動として知られる初期の立憲デモクラシー要求や、欧化主義に反対する「(明治期の)日本主義」と呼ばれる国粋主義運動も勃興し一定の影響を及ぼした。明治憲法制定(1889)・帝国議会開設(1890)などはそれらのせめぎ合いの成果である。
(3)大正教養主義の時代ポーツマス条約締結~第一次大戦による好景気
(1905-1917)
明治期の悲願であった ロシアの脅威の排除と不平等条約改正という大目標を達成 したこの時期の日本では、政治よりも(西欧産の) 哲学・文学など文化的教養に重きをおく風潮 が顕著になり( 大正教養主義 )、それが政治面にも作用して議会制デモクラシーの確立を目指す動きが強まった(大正デモクラシー)。第一次大戦によって日本の富強化は一段と進展した。
(4)マルクス主義的教養の時代ロシア革命~4.16事件(共産党員の大量検挙)
(1918-1930)
1917年10月に ロシアで共産主義革命 が起こり、また第一次大戦の敗戦の結果 ドイツ・オーストリア・トルコ などの帝国が倒れて 共和国化 した影響で、「歴史の必然的な発展法則」を説く マルクス主義思想 が折柄の 大正期の自由な知的環境 の中で 急速に知識人・学生層に影響力を拡大 した(1918年東大新人会発足・・・当初は吉野作造の民本思想などの研究が中心だったが急速にマルクス主義思想に傾斜。1928年解散)。
「革命の輸出(世界革命)」を目論むロシア共産党は1919年コミンテルン(国際共産党組織)を作り、その下部組織として 日本共産党が結党 され27年テーゼ(綱領)では公然と「天皇制打倒」を掲げるに至ったため、3.15事件(1928年)・4.16事件(1929年)で治安維持法に基づく共産党員の一斉検挙が実施された。
このとき将来の国家を担うべき 東大京大を初めとする全国32大学148名の現役学生が検挙 された事実は 政府当局を震撼 させ「 思想国難 」と認識されるようになった。この共産党員の一斉検挙後も東大・京大など有力大学にマルクス主義に染まった多数の教授が大正期以来の「学問の自由」「大学の自治」を盾に居座り続け、それが排除されるのはコム・アカデミー事件(1936年)・人民戦線事件(1938-39年)に至ってからであった。
(5)日本主義的教養の時代満州事変勃発~ポツダム宣言受諾
(1931-1945)
マルクス主義への対抗イデオロギー としての役割が、 日本主義 (日本の歴史・伝統に則った精神的姿勢の追求)に担わされた。
その一方で、実際の 国策指導・戦争指導 は、特に近衛文麿内閣の成立後は、日本主義を奉じる観念右翼(伝統保守)ではなく 革新右翼(国家社会主義者・アジア主義者)によって実施 される場合が多く、観念保守はその動きに「護憲」の立場から歯止めをかけるのに精一杯だった。
(6)戦後民主主義(教養主義の没落)期GHQの占領~冷戦終結
(1945-1990)
(4) マルクス主義的教養の時代に思想形成 し、それゆえに(5) 日本主義的教養の時代には思想弾圧 を受けたと感じているアカデミズムやジャーナリズムの人士が、 GHQの占領政策に乗じて 、そうした恨みを存分に晴らす機会を得て 跳梁跋扈 し、その影響が現在も続いている。
(7)ポスト冷戦期ソ連邦崩壊~現在まで
(1991-)
上記の通り、西暦2000年代に入ってようやく戦前の政治思想の状況を実証的に見直す動きが顕在化してきた。


■4.戦前日本の思想を考える様々な参考図書

歴史学 (ヒューマニティーズ)
佐藤 卓己 (著) 2009.5刊

内容(「BOOK」データベースより)
情報化、グローバル化が加速するメディア社会。公議輿論の足場として、歴史的教養の重要性はますます高まっている。しかし、こうした現実の課題に対して、「大きな物語」が失われたあと、これまでの歴史学は充分に応えてきただろうか。公共性の歴史学という視点から、理性的な討議を可能にする枠組みとして二一世紀歴史学を展望する。

★評価
著者は日本主義的教養の時代―大学批判の古層の中心的編集者で良くも悪くも現在の歴史学の水準を体現している人物。ヒューマニティ・シリーズの一冊として、敢えて従来の「(ゴリゴリの)自虐史観」からは距離を置くこのような著者の本が、あの(戦後一貫して自虐史観で真っ黒だった)岩波書店から出版されたこと(出版せざるを得なくなったこと?)は非常に意義深いことである。
但し現在の歴史学の限界をも露呈する一冊とも読める。果たして次の世代は、この限界をどれだけ乗り越えられるのかに注目したい。
日本の思想
丸山真男 (著) 1961.11刊

内容(「BOOK」データベースより)
現代日本の思想が当面する問題は何か。その日本的特質はどこにあり、何に由来するものなのか。日本人の内面生活における思想の入りこみかた、それらの相互関係を構造的な視角から追究していくことによって、新しい時代の思想を創造するために、いかなる方法意識が必要であるかを問う。日本の思想のありかたを浮き彫りにした文明論的考察。

★評価
その思想の偏り、事実関係の歪曲・捏造ぶりが散々に指摘される丸山真男の代表的著作。
よく読むと丸山と同時代人である蓑田胸喜や平泉博士や京都学派の高山岩男といった今では世間一般では忘れられた思想家、さらには「日本主義」「近代の超克」からエドマンド・バークやカール・ポパーにまで言及している箇所があり、そうした意味でも興味深い。
丸山真男の時代
竹内 好 (著) 2005.11刊

内容(「BOOK」データベースより)
戦後の市民による政治参加に圧倒的な支配力を及ぼした丸山眞男。そのカリスマ的な存在感の背景には、意外なことに、戦前、東大法学部の助手時代に体験した、右翼によるヒステリックな恫喝というトラウマがあった。本書は、六〇年安保を思想的に指導したものの、六〇年代後半には学生から一斉に背を向けられる栄光と挫折の遍歴をたどり、丸山がその後のアカデミズムとジャーナリズムに与えた影響を検証する。

★評価
『日本主義的教養の時代―大学批判の古層』のもう一人の中心的編集者。1942年生まれの著者はまさしく学生時代に丸山真男の強い影響を受けた世代だが、それだけに鋭く丸山氏の矛盾点・問題点を突いている。戦前から続く丸山と蓑田胸喜の浅からぬ因縁、戦後の学生運動への共産党の干渉、1960年の安保闘争、その後の全共闘など「丸山真男の時代」を簡潔に描き出しており、読み易い。
日本とドイツ 二つの全体主義 「戦前思想」を書く
仲正 昌樹 (著) 2006.7刊

出版社/著者からの内容紹介
「戦後思想」があるとすれば、「戦前思想」もあっておかしくないような気がするが、あまり聞かない。しかし「日本とドイツ」に限って言えば、一八七〇年前後から、第二次大戦が本格化する一九四〇年前後までの約七十年間を取ると、結構、意味のある比較をすることができる。何故かというと、両国とも一八七〇年頃に、西欧的な意味での近代国家を形成し、(英国やフランスに比べて)遅ればせながら、[国民国家としての統合→帝国主義的拡張]のプロジェクトに乗り出し、最終的に「(西欧)近代の超克」を目指して全体主義体制を構築し、戦争へと突入していったからである。(「プロローグ」より)

★評価
戦前日本の思想状況について通史的な図書が他に見当たらないため内容にはかなり問題があるもののこの本を薦めざるを得ない。
著者は元統一教会信者であり、皇室に対する本質的敬意に欠け、かつ安倍元首相に対する敵意を剥き出しにする人物だが、これが現在の思想界の水準(および限界)と考えてよいと思う。次の世代がこれをどれだけ乗り越えられるか。

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