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民主党は最低保障年金を取り下げよ

Category: 政治  
民主党は最低保障年金を取り下げよ
2011.5.22

民主党は「最低保障年金」を社会保障と税の一体改革のメニューから取り下げたらどうだろう。同党は詳細な制度設計を進めているが、巨額な税財源を要するだけに、とても現実的な案とは思えない。

 民主党の衆院選マニフェスト(政権公約)によると、最低保障年金は消費税を財源とし、すべての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする。同党の看板政策であり、こだわりが強いのは理解する。

 だが、これを実現するための莫大な税財源をどうするのか。

 民主党内で浮上している「現役時代の平均年収で600万円までを満額支給とし、1200万円超で支給打ち切り」という条件の場合、最低保障年金の制度移行が完了予定の平成67年(2055年)には、40兆円近い財源が必要との試算もあるという。現行の基礎年金を存続させるよりも10兆円以上も余分にかかる計算だというから驚く。

 年金改革では、これとは別に現行の基礎年金の国庫負担を2分の1にするための財源として毎年約2・5兆円を充当しなければならない。

 社会保障のための消費税率アップは避けられないとはいえ、税率を青天井で引き上げるわけにはいかないだろう。東日本大震災もあって、日本の財政状況はより厳しいものとなっている。


 年金ばかりに巨額の税投入をしたのでは、医療や介護、少子化対策に回す財源の確保が難しくなる。この状況下で、最低保障年金を実現するというのは、まさに絵に描いた餅だ。

 こうした事情は、各種団体から提言されている基礎年金の「全額税方式」案にも、共通して言えることだ。全額税方式も最低保障年金と同様、多くの税財源が必要だ。保険料と税投入の組み合わせによる現行の社会保険方式こそが現実的な制度なのである。

 最低保障機能を強化するために、基礎年金の支給基準を上げるべきとの提言もあるが、現在の日本の財政事情を考えれば、こうした受給者全体の底上げをする余裕はない。

 話を最低保障年金に戻そう。問題は、財源にめどがたたないことだけではない。制度の考え方にも疑問がある。

 民主党は最低保障年金の目的について、最低保障機能の強化の意味合いを強調してきたが、全員に月額7万円以上を支給することが、本当に最低保障機能の強化といえるのだろうか。

 保険料を払おうが、払わまいが、老後に月額7万円がもらえるのでは、年金保険料を払おうと思わなくなる人が出てくるのではないのか。中には、まじめに働こうという意欲をなくす人が現れるかもしれない。


最低保障年金は低年金者対策の意味合いもあるというが、低年金者が必ずしも低所得者であるとはかぎらない。低年金者であっても不動産収入や株式配当など、他の収入がある人だっているからだ。

 そもそも、公的年金は老後の所得保障の主柱ではあるが、生活のすべてを保障するものではないはずだ。社会弱者に手を差し伸べるのは当然ではあるが、国民一人一人が自身で老後に備えるのに努めることが先だ。社会の基本は自助自立である。

 個々の頑張りと関係なく、国家が最低限の生活費を準備するというのは、いかがなものだろうか。

 年金は保険であり、保険料納付が少なければ、受け取る年金額が少ないのはやむを得ない話である。最低保障機能を強化する対象というのは、コツコツ働いてきたにもかかわらず、心ならずとも老後の生活が苦しい人に限定すべきである。

 真面目に働こうとしなかったり、支払い能力がありながら保険料を払ってこなかった人にまで、手厚い年金を支給したのでは、理解が得られないだろう。

 産経新聞は2月12日に、年金以外の収入を含めても所得が著しく低い人を対象に、月額2万円程度を支給する「自立応援年金制度」(仮称)を提言した。財源は年金額が多い豊かな高齢者の基礎年金税負担分を減額して捻出する。


年金は現役世代の保険料や税金を財源に高齢者に給付する「仕送り方式」となっているが、自立応援年金は高齢者同士で支え合うという発想だ。

 自立応援年金は現在、現行制度の改善策の有力案の一つとして、厚生労働省で検討されており、同省は一体改革案への盛り込みを目指している。これならば制度導入で必要となる追加の税財源は数千億円規模で収まる。移行期間もなく実施できるのもメリットだ。

 さらに考えなければならないのは、民主党が最低保障年金にこだわり続ける以上、現行制度の改善すら実現に時間がかかる可能性があることだ。

 政府・与党は一体改革における年金の取り扱いについて、第1段階として現行制度の改善を行い、第2段階で最低保障年金を柱とする新年金制度への切り替えを行うという2段階構想を描いている。

 だが、最低保障年金の実現を前提としたのでは、野党側が年金協議に応じるかは分からない。

 高齢化はどんどん進んでおり、現行の年金制度は手直しをしなければならないところがたくさんある。民主党は、最低保障年金の旗を降ろし、まず野党との年金協議に向けた環境を作ることが、政権政党としての責務であろう。(論説委員)



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